「中学受験の過去問は、いつから始めればいいのだろう」——小学6年生のお子さんをお持ちの保護者の方なら、夏が近づくにつれてこの疑問が大きくなってくるのではないでしょうか。書店には各校の過去問題集が並び始め、塾の保護者会でも過去問の話題が出るようになり、「もう買ったほうがいいの?」「解かせるのはまだ早い?」と迷う声をよく耳にします。早く始めれば有利な気がする一方で、まだ実力が伴わないうちに解かせて自信を失わせてしまうのも怖い。周りと比べて焦る気持ちと、「今は基礎を固めるべきでは」という迷いの間で揺れている方は少なくありません。
結論からお伝えすると、中学受験の過去問演習は小6の夏休み明け〜秋(9月〜10月頃)に始めるのが最も一般的です。ただしこれはあくまで目安であり、お子さんの成績や志望校のレベル、通っている塾の方針によって最適な時期は前後します。そして「いつから解くか」と同じくらい大切なのが「どう使うか」です。時間配分・採点・直しのやり方次第で、同じ過去問でも得られる効果は大きく変わります。
この記事では、次のことが分かります。
- 過去問を始める一般的な時期(小6の9月前後)と、その理由
- 志望校のレベルや成績状況による開始時期の調整方法
- 小6の夏休みに過去問とどう向き合うか(まだ解かない?1回分だけ試す?)
- 時間配分・採点・直しまで含めた過去問の正しい使い方
- 第一志望・併願校それぞれ「何年分」解くかの目安と配分
- 過去問で点が取れない時の対処法と、親ができるサポート
なお、中学受験全体のスケジュールや塾選びから確認したい方は、中学受験の進め方ガイドもあわせてご覧ください。それでは、順番に見ていきましょう。
中学受験の過去問はいつから始める?一般的な目安は「小6の9月前後」
まず、多くの受験生と進学塾が採用している標準的なスケジュールを確認しましょう。学年・時期ごとの過去問との関わり方は、おおよそ次のようになります。
| 時期 | 過去問との関わり方 |
|---|---|
| 小5まで | 解かない。志望校選びの参考として保護者が目を通す程度 |
| 小6の4月〜7月 | 原則まだ解かない。単元学習の完成と弱点補強を優先する |
| 小6の夏休み | 基礎固めがメイン。力試しに1回分だけ解いてみる家庭もある |
| 小6の9月〜10月 | 過去問演習のスタート時期。第一志望校の過去問から着手 |
| 小6の11月〜12月 | 併願校の過去問にも着手。第一志望は2周目に入る |
| 小6の1月〜入試直前 | 総仕上げ。時間配分の最終確認と、間違えた問題の解き直しが中心 |
このように、本格的な過去問演習の開始は「小6の9月前後」が主流です。首都圏では2月上旬、関西では1月中旬に入試が集中するなど、地域によって入試日程は異なるため、正確には「入試本番から逆算して4〜5か月前」と考えるのが実態に近いでしょう。首都圏の2月入試を想定すると、9月開始で演習に使える期間は約5か月。決して長くはありませんが、正しい進め方をすれば十分に間に合う期間でもあります。逆に言えば、関西など1月入試の地域では、その分だけ前倒しで準備しておく必要があるということです。
なぜ「小6の秋」なのか|3つの理由
1つ目の理由は、塾のカリキュラムがひと通り終わるのが小6の夏〜秋だからです。中学入試の問題は複数の単元を組み合わせた総合問題が中心で、全範囲の学習が終わっていない段階で解いても「習っていないから解けない」問題が混ざり、正確な実力測定になりません。範囲学習が完成してから解くほうが、1年分の過去問から得られる情報の質が格段に上がります。
2つ目は、判断材料として使える時期だからです。秋は志望校を最終決定し、併願プランを固めていく時期です。このタイミングで過去問との相性(出題形式が合うか、時間内に解き切れるか)を確かめられると、出願校選びの精度が上がります。
3つ目は、お子さんの精神面への配慮です。実力が固まる前に難関校の過去問を解けば、点数はほとんど取れません。「全然できなかった」という体験だけが残ると、その学校への苦手意識や受験そのものへの不安につながりかねません。ある程度戦える状態になってから向き合うほうが、前向きに演習を積み重ねられます。
早すぎる開始・遅すぎる開始のリスク
開始時期を大きく外すと、それぞれ次のようなデメリットがあります。
- 早すぎる場合(小6の春以前):実力不足で点にならず自信を失いやすい/過去問は年度数に限りがある貴重な教材なのに、効果の薄い時期に消費してしまう/直しに時間がかかりすぎて、優先すべき単元学習を圧迫する
- 遅すぎる場合(12月以降):志望校の出題傾向への対策が間に合わない/時間配分の練習量が不足する/併願校の過去問まで手が回らず、入試当日に初見の形式で戸惑う
だからこそ「9月前後」が目安になるわけですが、すべてのご家庭に一律で当てはまるわけではありません。次の章で、状況別の調整方法を見ていきましょう。
【状況別】過去問の開始時期はこう調整する
「小6の9月」は平均的な目安にすぎません。志望校のレベル、現在の成績、通塾の有無によって、最適な開始時期は変わります。代表的なパターンを整理すると次のとおりです。
| 状況 | 開始時期の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 難関校志望で成績が安定している | 9月上旬〜 | 出題が独特な学校ほど傾向分析と対策に時間がかかるため、早めに着手する |
| 基礎に不安が残る・偏差値が志望校に届いていない | 10月〜11月 | 焦って始めるより基礎固めを優先。開始後も週1年分程度の無理のないペースで |
| 中堅校志望で成績が安定している | 9月下旬〜10月 | 標準的なスケジュールで問題なし。直しの質を重視する |
| 1月に前受け校(お試し受験)がある | 前受け校分は11月〜12月 | 本命校の演習と並行して、前受け校は1〜3年分を確認しておく |
| 志望校がまだ決まっていない | 学校選びを先に | 候補校の過去問を見比べ、出題との相性を学校選びの材料にする |
大切なのは、「早く始めた家庭が勝つ」わけではないという点です。過去問は実力を志望校の出題形式に合わせて仕上げるための教材であり、土台となる学力がないまま量をこなしても効果は限定的です。開始時期そのものよりも、「始められる状態を秋までに作っておく」ことを意識しましょう。
塾に通っている場合は、まず塾の方針に従う
大手進学塾の多くは、9月以降に志望校別特訓や過去問演習の指示を組み込んだカリキュラムを用意しています。「いつから」「どの学校を」「何年分」まで細かく指定されるケースも珍しくありません。塾の指示と家庭の判断で二重に過去問を進めると、直しが追いつかず消化不良になりがちです。指示がある場合は勝手に前倒しせず、疑問があれば面談で「わが子の場合はいつから・何年分か」を確認するのがおすすめです。塾はその学校の入試傾向と生徒の状況を踏まえて時期を設計しているので、納得できる説明が得られるはずです。
塾なし・自宅学習中心の場合は「逆算の計画表」を先に作る
通塾せずに中学受験へ挑む場合、過去問演習のペースメーカーがいない点が最大の難所です。入試日から逆算して、「何月の何週にどの学校の何年度分を解くか」を書き出した計画表を、遅くとも9月初旬までに作っておきましょう。1年分を解いて採点し、直しまで終えるにはまとまった時間が必要なので、週末単位で枠を確保しておくと崩れにくくなります。塾を使わない受験の全体戦略については、塾なしで中学受験に挑む方法の記事で詳しく解説しています。
小6の夏休み、過去問は「まだ解かない」が基本|ただし1回分だけ試す価値はある
検索でも相談でも特に多いのが、「夏休みに過去問をやらせるべきか」という質問です。結論は、夏休みは本格的な過去問演習の時期ではない、ただし目的を絞って1回分だけ体験するのは有効、という整理になります。
夏休みの主役は基礎固めと弱点補強
小6の夏休みは、全単元をまとめて総復習できる最後のまとまった期間です。ここで苦手単元を残すか解消するかが、秋以降の過去問演習の効率を大きく左右します。過去問は「仕上げの教材」なので、土台に穴がある状態で解いても、穴の分だけ失点し、直しにも時間がかかります。夏の優先順位は、あくまで基礎固めと弱点つぶし。過去問に大きく時間を割くのは得策ではありません。
「1回分だけ」お試しで解く意味とやり方
一方で、夏の時点で第一志望校の過去問を1年分(または1教科分)だけ解いてみる方法には、次のような意味があります。
- ゴールを体感できる:「あと半年でこのレベルの問題と戦う」という実感が、夏以降の学習の本気度を変える
- 学習の方向づけになる:記述が多い、計算量が多いなど、志望校が求める力が分かり、秋までに鍛えるべきポイントが見える
- 時間感覚がつかめる:制限時間に対する問題量を知っておくと、秋からの演習に入りやすい
実施する場合の注意点は3つです。第一に、使うのは古めの年度にすること。直前期の最終確認に取っておきたい最新年度は温存します。第二に、点数で評価しないと親子で事前に決めておくこと。この時期は解けなくて当たり前で、目的は情報収集です。第三に、丸付けのあとに「秋までに何を強化するか」を親子で言葉にして終えること。点数ではなく「次の行動」に変換できれば、夏のお試し演習は成功です。
夏のうちに保護者がやっておきたい「過去問研究」
お子さんが基礎固めに集中している間、保護者は過去問まわりの準備を進めておくと、9月からのスタートがスムーズです。
- 志望校・併願候補校の過去問題集を入手しておく(人気校は秋以降に品切れることもあります)
- 募集要項で試験時間・教科・配点を確認し、一覧表にまとめる
- 学校が公表している合格最低点(合格者最低点)や受験者平均点を調べておく
- 出題傾向(記述の多さ、計算量、理社の形式など)にざっと目を通す
- 問題・解答用紙を実物大でコピーできる環境(B4・A3対応)を用意する
この「親の下準備」があるかどうかで、秋以降の演習の回転効率は大きく変わります。
過去問の正しい使い方|「時間配分・採点・直し」の3ステップ
過去問は「解いて点数を出して終わり」では効果が半減します。むしろ本当の学習は解き終わってから始まると言ってもよいくらいです。ここでは1年分の過去問を最大限活用するための3ステップを解説します。
ステップ1|本番と同じ条件で解く(時間配分の練習)
過去問演習の大きな目的の一つは、時間配分の練習です。次の条件をそろえて解きましょう。
- 制限時間は実際の試験時間きっかりに設定する(タイマーを使い、延長しない)
- 解答用紙は実物大にコピーして使う(記述の分量感・解答欄の大きさに慣れるため)
- できれば教科の順番も本番と同じにする
- 途中で中断しない、教科書や解説を見ない
時間内に解き切れないのは初期には普通のことです。重要なのは、「1問に何分までかけてよいか」「難しい問題を飛ばして戻る判断ができるか」という試験運びの技術を、演習のたびに少しずつ磨いていくことです。全問を解こうとして時間切れになるより、取れる問題を確実に取るほうが合格には近道です。また、実施するタイミングにも気を配りましょう。学校や塾で疲れ切った夜に解くと、実力より低い点になり正確な測定になりません。できれば入試本番と同じ午前中、頭が働く時間帯に解くのが理想です。土日の午前を「過去問の時間」として固定してしまうと、生活リズムごと本番仕様に近づけられます。
ステップ2|採点は客観的に、「合格最低点」と比較する
採点は保護者が担当するか、模範解答を見ながら本人と保護者でダブルチェックするのがおすすめです。特に記述問題は、本人採点だと「だいたい合っているから丸」と甘くなりがちです。要素が欠けていれば減点する、字数条件を満たしていなければ点を与えないなど、厳しめに付けましょう。
そして採点後に見るべき数字は、偏差値ではなくその学校の合格最低点です。多くの私立中学は年度ごとの合格最低点や受験者平均点を公表しています。「合格最低点まであと何点か」を記録していくと、毎回の演習が「合格までの距離を測る定点観測」になります。最初は届かなくて当たり前なので、差が縮まっていく過程を親子で確認していきましょう。
ステップ3|「直し」にこそ解くのと同じだけ時間をかける
過去問演習で最も学力が伸びるのは、間違えた問題の直し(解き直し)の時間です。次の手順で進めましょう。
- 間違えた問題を「なぜ間違えたか」で分類する(知識・理解不足/問題文の読み違い/時間切れ/計算・転記ミス)
- 解説を読んで理解したら、何も見ずにもう一度自力で解き直す
- 知識不足が原因の問題は、テキストの該当単元に戻って周辺知識ごと復習する
- 数日後にあらためて解き、定着しているかを確認する
- 間違えた問題と原因を「直しノート」に記録し、直前期の見直し材料にする
一方で、受験者のほとんどが解けないような難問(いわゆる捨て問)は、深追いしない判断も大切です。合格最低点を見れば分かるとおり、中学入試は満点勝負ではありません。「合格に必要な問題を確実に取る」という視点で、直しの優先順位を付けましょう。
過去問は何年分やる?第一志望と併願校の配分の目安
「過去問は何年分解けばいいのか」も定番の疑問です。志望順位ごとの一般的な目安は次のとおりです。
| 志望順位 | 年数の目安 | 回数の目安 |
|---|---|---|
| 第一志望校 | 5〜10年分 | 最低2周。直前期に重要年度の3周目も |
| 第二志望校 | 3〜5年分 | 1〜2周 |
| 併願校・前受け校 | 1〜3年分 | 1周(時間配分と出題形式の確認が目的) |
仮に第一志望7年分、第二志望4年分、併願2校で各2年分とすると、合計15年分。1年分は4教科の演習だけで半日、直しまで含めると丸1日かかることも珍しくありません。週に1〜2年分が現実的なペースだとすると、9月から1月までの週数はほぼ埋まる計算です。つまり、過去問演習は「思い立ったら全部やる」は不可能で、配分計画がすべてなのです。
スケジュールの組み方の例
標準的な進め方の一例を挙げます。9〜10月は第一志望校の古い年度から週1年分ペースで開始し、時間配分と出題形式に慣れる期間にします。11月は併願校の過去問を挟みながら第一志望を継続し、出願校を最終決定します。12月は第一志望の2周目と併願校の仕上げ。1月は取っておいた最新年度で本番シミュレーションを行い、あとは新しい問題を増やすより直しノートの見返しを中心に据える——という流れです。
ここでのポイントは、最新の1〜2年分を直前期の「最終確認用」に温存するという定番のやり方です。実力が仕上がった状態で最も本番に近い年度を解くことで、精度の高い最終チェックができます。ただし、出題形式が近年大きく変わった学校の場合は、先に最新年度に目を通して新傾向を把握しておくほうがよいこともあります。
過去問題集には直接書き込まず、コピーして使う
実務的なコツとして、過去問題集本体には書き込まず、問題と解答用紙をコピーして使いましょう。2周目・3周目に取り組むときに、前回の書き込みが残っていると正確な演習になりません。また、多くの過去問題集の解答用紙は縮小して収録されているため、指定されている拡大率どおりに実物大へ拡大コピーすることが大切です。解答欄の大きさは「どのくらいの分量で記述すべきか」のヒントでもあり、実物大で練習しておくと本番で戸惑いません。コピーは枚数がかさむので、まとめて数年分を用意しておき、年度ごとにクリアファイルで管理すると、演習当日の準備がスムーズになります。
「何年分やったか」より「1年分をどこまで深くやったか」
年数はあくまで目安です。10年分を雑に解き散らかすより、5年分を「時間配分の反省→直し→数日後の解き直し」まで丁寧に回すほうが、合格には確実に近づきます。特に基礎に不安があるお子さんの場合、年数を欲張るとすべてが中途半端になりがちです。「解いた年数」ではなく「できるようになった問題の数」を親子の共通指標にしましょう。
過去問で点が取れない時の対処法|焦る前に確認したいこと
過去問演習が始まると、多くのご家庭が直面するのが「思ったより点が取れない」というショックです。しかし、ここでの対応を間違えなければ心配はいりません。
最初は合格最低点に届かなくて当たり前
初回の過去問で合格最低点を超える受験生は、むしろ少数派です。合格した先輩たちでも「最初は5〜6割だった」「最初の1回は全然歯が立たなかった」という声は多く聞かれます。過去問はその学校仕様の総合問題であり、模試とは別物です。演習と直しを重ねることで、出題形式への慣れ・時間配分・頻出分野の強化が進み、秋から冬にかけて点数は伸びていくのが普通の経過です。初回の点数はスタート地点の記録にすぎない、と親子で共有しておきましょう。
時期別のおおまかな目安
一般的に言われる目安を整理すると、次のようなイメージです(学校や配点によって異なるため、あくまで参考としてご覧ください)。
| 時期 | 合格最低点とのギャップ | 取るべき対応 |
|---|---|---|
| 9〜10月 | 2〜3割足りなくても許容範囲 | 点数より直しの質を重視し、失点の原因分類を始める |
| 11月 | 1〜2割差まで縮めたい | 教科別・分野別に失点を分析し、弱点単元を集中補強する |
| 12月〜1月 | 合格最低点前後〜超えを目指す | 時間配分の微調整と直しの見返し。体調管理も本格化 |
模試の偏差値と過去問の点数は別物と考える
「模試では合格圏なのに過去問だと点が取れない」「模試の判定は厳しいのに過去問は相性がいい」という現象は、どちらもよく起こります。模試は幅広い学校に対応するための標準的な出題であるのに対し、過去問はその学校が求める力に特化した出題だからです。極端に言えば、入試本番で戦うのは模試ではなく、その学校の問題です。秋以降は、模試の偏差値は学力の定点観測として参考にしつつ、合否との距離感は過去問の得点と合格最低点の差で測る、という使い分けを意識しましょう。過去問との相性のよさは、それ自体が立派な武器になります。
原因を4つに分けて対策する
「点が取れない」を放置せず、失点の中身を分解すると打ち手が見えます。
- 知識・理解不足:過去問を続けるより、テキストの該当単元に一度戻るほうが早い。頻出分野から優先的に埋める
- 時間配分の失敗:解く順番の作戦を立てる。「最初の5分で全体を見て、解ける問題から着手する」などのルール化が有効
- 問題形式への不慣れ:長い記述、資料の読み取りなど、その学校特有の形式は演習量で慣れる。似た形式の他校過去問を使う方法も
- ケアレスミス:ミスの種類(計算・転記・単位・問われ方の見落とし)を記録し、見直しの手順を固定化する
12月になっても大差が縮まらない時は
12月時点で合格最低点まで大きな差が残っている場合は、感情的にならず、併願プランの再点検も選択肢に入れましょう。第一志望を諦めるという意味ではなく、「安全校を1つ厚くする」「入試日程を組み替える」といった調整で、お子さんが安心して第一志望に挑戦できる態勢を作るということです。この判断はご家庭だけで抱え込まず、塾の先生や指導経験のある第三者に過去問の答案を見てもらったうえで相談するのがおすすめです。
親ができるサポート|「マネージャー・採点係・応援団」の3役
過去問演習期の保護者の役割は、大きく3つに整理できます。
- マネージャー(環境と進行の管理):問題・解答用紙の実物大コピー、タイマーの準備、静かに解ける環境づくり、週ごとの演習スケジュール管理、点数記録表(年度・教科・得点・合格最低点との差)の作成
- 採点係:模範解答に基づく客観的な採点、記述問題の要素チェック。甘い採点は本番での誤算につながるため、心を鬼にして正確に
- 応援団(メンタルサポート):点数に一喜一憂せず、前回からの伸びや直しの頑張りを言葉にして返す。きょうだいや他の子と比較しない
記録表は、シンプルで構わないので必ず作ることをおすすめします。項目は「実施日/学校名/年度/教科ごとの得点/合計点/その年度の合格最低点/差」の7つで十分です。1枚の表に時系列で書き足していくと、「10月は60点差だったのが12月には15点差まで縮まった」という伸びが一目で分かり、お子さん自身の自信にもつながります。逆に特定の教科だけ差が縮まっていない場合は、補強すべきポイントが数字で見えてきます。
声かけはとくに影響が大きいポイントです。「なんでこんな問題も間違えるの」「この点数じゃ受からないよ」といった言葉は、お子さんの意欲を確実に削ります。かわりに「前回より算数が10点伸びたね」「この直しノート、よくまとまってるね」のように、事実ベースで進歩を認める声かけを心がけましょう。過去問期の子どもは、大人が思う以上に点数に傷ついています。家庭が「失点を責められる場所」ではなく「次の一手を一緒に考える場所」であることが、最後まで走り切る支えになります。
とはいえ、4教科すべての採点と直しの面倒を保護者だけで見るのは、時間的にも専門性の面でも大変です。特に算数の難問や国語の記述は、「解説を読んでも子どもに説明できない」という壁に当たりがちです。次章では、外部の力を借りる選択肢を整理します。
過去問演習を家庭だけで回すのが難しい時の選択肢
過去問演習で最も価値があるのは「直し」の時間ですが、ここは最も人手と専門性が必要な部分でもあります。サポートの選択肢をタイプ別に整理すると、次のようになります。
| タイプ | 過去問対策との相性 | 費用感(一般的な目安) |
|---|---|---|
| 集団塾(進学塾) | 志望校別特訓や過去問演習講座が充実。ただし一人ひとりの答案の直しまでは手が回りにくい面も | 小6で月3〜5万円程度+講習・特訓費がかかることが多い |
| 個別指導塾 | 過去問の直しを1対1〜1対2で見てもらえる。通塾の送迎が必要 | 週1回で月1.5〜3万円程度が目安 |
| 対面の家庭教師(センター型) | 自宅でじっくり直しに付き合ってもらえる。入会金・管理費・交通費が別途かかる場合が多い | 月2〜5万円程度+諸費用が目安 |
| オンライン家庭教師(マッチング型) | 送迎不要で自宅から受講。必要なコマ数だけ使え、過去問の直しだけのスポット依頼もしやすい | 1回数千円程度から使えるサービスもある |
直前期に増えるのは、「第一志望の算数の過去問直しだけ見てほしい」「国語の記述だけ添削してほしい」というピンポイントのニーズです。月謝制のサービスだと申し込みの単位が大きくなりがちですが、必要な回数だけ使える従量課金型のオンライン家庭教師は、こうした過去問期の使い方と相性がよい選択肢です。手持ちの過去問題集をそのまま教材にできるかどうかも、選ぶ際の確認ポイントにしましょう。
よくある質問
過去問は古い年度と新しい年度、どちらから解くべきですか?
古い年度から解き始め、最新の1〜2年分は直前期の最終確認用に残すのが定番です。実力が仕上がった状態で、最も本番に近い傾向の年度を解けるため、精度の高い最終チェックになります。ただし、近年出題形式が大きく変わった学校を受ける場合は、先に最新年度に目を通して新しい傾向を把握しておくほうが安心です。
同じ過去問を繰り返し解く意味はありますか?何回やればいいですか?
意味はあります。第一志望校は2〜3周が目安です。2周目の目的は「1周目に解けなかった問題が解けるようになったかの確認」と「時間配分の精度上げ」です。答えを覚えてしまっていても、解き方の筋道を自力で再現できるかを確認する価値があります。逆に併願校は1周で形式と時間感覚をつかめれば十分なことが多いです。
塾から「まだ過去問を解かないで」と言われています。家庭の判断で始めてもいいですか?
まずは塾の方針に従うことをおすすめします。塾の指示はカリキュラムの進度や志望校別対策の日程と連動しており、家庭で先行すると直しが重複して消化不良になりがちです。不安がある場合は面談で「うちの子はいつから・どの学校を・何年分やる計画か」を確認しましょう。納得できる説明が得られれば、家庭では基礎固めに集中するのが得策です。
過去問で合格最低点を超えたら、合格できると考えていいですか?
大きな安心材料にはなりますが、確実とは言えません。本番には緊張や問題との相性という変動要因があり、年度によって難易度も動きます。逆に、直前期まで届いていなくても本番までに伸びて合格する例も多くあります。合格最低点は合否予想の道具ではなく「距離を測る物差し」と捉え、超えた後も時間配分の精度上げと直しの見返しを続けましょう。
まとめ|過去問は「いつから」と「どう使うか」の両輪で考える
最後に、この記事の要点を整理します。
- 過去問演習の開始は小6の9月前後が一般的な目安。塾の方針・成績・志望校レベルで前後に調整する
- 夏休みは基礎固めが主役。過去問は「古い年度を1回分だけ、点数評価なしで」の力試しまでにとどめる
- 使い方は「本番と同条件で解く→合格最低点と比べて客観採点→直しに同じだけ時間をかける」の3ステップ
- 年数の目安は第一志望5〜10年分(2周以上)、第二志望3〜5年分、併願校1〜3年分。最新年度は直前期用に温存
- 点が取れなくても最初は当たり前。失点を4つの原因に分解し、時期ごとの目安と照らして淡々と対策する
- 保護者はマネージャー・採点係・応援団の3役。点数を責めず、進歩を言葉にして返す
それでも、「算数の直しを親が教えるのは限界」「記述の採点が正しいか自信がない」「直前期だけ誰かに伴走してほしい」という場面は必ず出てきます。そんなとき選択肢の一つになるのが、オンライン家庭教師マッチングアプリのTeach(ティーチ)です。
Teachは完全オンラインの1対1指導で、全国どこからでも受講でき、送迎や交通費は一切かかりません。講師は約3,500名が在籍し、約70%は東大・京大・早慶・医学部などの現役大学生。指導歴の長いプロ家庭教師も在籍しています。講師は全員が学歴証明書と身分証の審査を通過しており、レビューや口コミを見ながら自分で選べて、毎回別の先生に頼むことも、いつでも変更することも可能です。手持ちの過去問題集や塾のテキストをそのまま使って指導を受けられるので、「第一志望の過去問の直しだけ」「国語の記述添削だけ」といった過去問期のピンポイントな使い方にもフィットします。
料金は1コマ60分あたり1,995円〜(先生により変動)で、30分・60分・90分・120分から選択可能。週1回(月4回)なら月7,800円〜です。入会金・月謝・教材費・解約金はすべて0円で、受けたコマ数分だけの従量課金だから、単発利用やテスト前だけ・直前期だけの短期利用でも無駄がありません。ノルマや固定曜日もなく、最短3時間で授業を始められるので、「今週の過去問の直しが回らない」というときにもすぐ頼れます。
初回は無料体験(生徒1人につき1回)で、実際の授業をそのまま体験できます。過去問演習のペースづくりに不安がある方は、まず一度試してみてください。詳しくは無料体験のご案内をご覧ください。また、中学受験に関する他の記事は中学受験カテゴリにまとめています。お子さんの受験が、納得のいく形で春を迎えられるよう応援しています。


