「食塩水の公式は覚えたのに、混ぜたり水を加えたりする問題になると手が止まってしまう」——食塩水の濃度は、そんなつまずきが起きやすい単元です。割合(百分率)を小学5年、比を小学6年の算数で学んだあと、その2つを使う応用問題として、中学受験の算数でよく扱われます。
結論からお伝えすると、食塩水の公式は次の3つです(重さはg、濃度は%)。
濃度=食塩÷食塩水×100/食塩=食塩水×濃度÷100/食塩水=食塩÷濃度×100
3つとも「濃度=食塩÷食塩水×100」の形を変えただけです。混ぜる・水を加える・蒸発させるといった応用問題も、「食塩の重さ」に注目し、「何が変わらないか」を先に決めれば、同じ手順で解けます。
この記事では、次のことを順番に説明します。
- 公式3つの覚え方と、%と小数の直し方など計算ミスを防ぐ基本
- 混ぜる・水を加える・蒸発させる・食塩を加える・取り出し/やりとりの解き方
- てんびん図と面積図の使い方(図の代わりに、言葉と表で説明します)と、中学生向けの方程式での解き方
- よくある間違い7つと、練習問題5問(解答・解説つき)
お子さんが一人でも読めるように書いています。家で教えるときのコツは、後半の「保護者の方へ」にまとめました。
食塩水の濃度の公式は3つ|濃度・食塩の量・食塩水の量
食塩水の問題に出てくる量は、「食塩の重さ」「食塩水の重さ」「濃度」の3つです。濃度とは、食塩水全体の重さのうち、食塩の重さがどれだけの割合をしめるかを百分率(%)で表したものです。
| 求めるもの | 公式 | 例 |
|---|---|---|
| 濃度(%) | 食塩の重さ ÷ 食塩水の重さ × 100 | 食塩12gを水138gに溶かすと、食塩水は150g。12÷150×100=8% |
| 食塩の重さ(g) | 食塩水の重さ × 濃度 ÷ 100 | 6%の食塩水250gの食塩は、250×6÷100=15g |
| 食塩水の重さ(g) | 食塩の重さ ÷ 濃度 × 100 | 食塩18gで12%の食塩水を作ると、18÷12×100=150g |
もう1つ大切なのが、食塩水の重さは「水の重さ+食塩の重さ」になることです。物が水に溶けても、水と物とを合わせた重さは変わらないことを、小学5年の理科で学びます(文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」)。あわせて、次の式もよく使います。
- 食塩水の重さ = 水の重さ + 食塩の重さ
- 水の重さ = 食塩水の重さ − 食塩の重さ
- 2つの食塩水を混ぜたあとの濃度 = 食塩の合計 ÷ 食塩水の合計 × 100
覚え方:割合の3つの式と同じ形
3つの公式を別々に暗記する必要はありません。食塩水の公式は、割合の「割合=比べる量÷もとにする量」と同じ形をしています。
| 割合の言葉 | 食塩水では |
|---|---|
| もとにする量 | 食塩水の重さ |
| 比べる量 | 食塩の重さ |
| 割合 | 濃度(百分率なので、計算では100で割って使う) |
「割合=比べる量÷もとにする量」「比べる量=もとにする量×割合」「もとにする量=比べる量÷割合」の3つに食塩水の言葉をあてはめると、上の3つの公式になります。食塩水で迷ったときは、割合の基本に戻ると整理しやすくなります。
中学の理科では「質量パーセント濃度」と呼びます
中学1年の理科では、同じ考え方を「質量パーセント濃度」として扱います(文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」)。言葉は変わりますが、式は同じです。
| 算数の言葉 | 中学理科の言葉 |
|---|---|
| 食塩(溶けているもの) | 溶質 |
| 水(溶かしているもの) | 溶媒 |
| 食塩水 | 溶液 |
| 濃度 | 質量パーセント濃度 |
式で書くと、質量パーセント濃度(%)=溶質の質量(g)÷溶液の質量(g)×100 です。神奈川県の学習教材(神奈川県「課題解決教材(中学校2年生理科)」)でも、この式と言葉の対応で説明されています。
なお、物が水に溶ける量には限度があることも、小学5年の理科で学びます。食塩はいくらでも溶けるわけではないので、この記事の例題と練習問題では、濃度を20%以下にしています。
計算ミスを防ぐ「%と小数」の基本
百分率(%)を使って割合を表したり求めたりすることは、小学5年の算数で学びます(文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」)。食塩水の計算では、%のままかけ算をしないことが大切です。%は100で割ると、小数で表した割合になります。
| 百分率 | 小数(割合) | 歩合 |
|---|---|---|
| 10% | 0.1 | 1割 |
| 6% | 0.06 | 6分 |
| 12.5% | 0.125 | 1割2分5厘 |
| 0.5% | 0.005 | 5厘 |
- 6%は0.06です。0.6にすると、答えが10倍にずれます。
- 小数のかけ算が不安なときは、「250×0.06」を「250×6÷100」のように、整数のかけ算をしてから100で割ると、小数点の位置を間違えにくくなります。
- 濃度を求めるときは、最後の「×100」を忘れないようにします。12÷150=0.08 のままでは小数の割合で、%にすると8%です。
- 答えを書く前に、単位(gか%か)と、問われているもの(食塩・水・食塩水のどれか)をもう一度確かめます。
基本の例題|濃度・食塩の量・食塩水の量・水の量を求める
例題1:濃度を求める
食塩12gを水138gに溶かしました。何%の食塩水ができますか。
解き方:先に食塩水の重さを出します。12+138=150g です。濃度は 12÷150×100=8% です。水の重さの138gで割らないように注意しましょう。
例題2:食塩の量を求める
10%の食塩水200gには、何gの食塩が溶けていますか。
解き方:食塩の重さ=食塩水の重さ×濃度÷100 なので、200×10÷100=20g です。
例題3:食塩水の量を求める
食塩18gを使って、12%の食塩水を作ります。食塩水は何gできますか。また、水は何g必要ですか。
解き方:食塩水の重さ=食塩の重さ÷濃度×100 なので、18÷12×100=150g です。水は 150−18=132g です。
例題4:水の量を求める
食塩10gを水に溶かして、濃度2%の食塩水を作ります。何gの水に溶かせばよいですか。
解き方:まず食塩水全体の重さを出します。10÷2×100=500g です。このうち10gは食塩なので、水は 500−10=490g です。「500g」と答えてしまう間違いが多いので、問われているのが水か食塩水かを最後に確かめましょう。
混ぜる・水を加える・蒸発・食塩を加える問題は「何が変わらないか」で解く
食塩水の応用問題は、操作によって「変わらないもの」が決まっています。式を立てる前に、まずそれを書き出すのが近道です。
| 操作 | 変わらないもの | 変わるもの |
|---|---|---|
| 水を加える | 食塩の重さ | 食塩水が増え、濃度は下がる |
| 水を蒸発させる | 食塩の重さ | 食塩水が減り、濃度は上がる |
| 食塩を加える | 水の重さ | 食塩と食塩水が増え、濃度は上がる |
| 2つの食塩水を混ぜる | 食塩の合計と食塩水の合計(混ぜる前と後で同じ) | 濃度は、もとの2つの濃度の間になる |
| 一部を取り出す | 残った食塩水の濃度(取り出した直後) | 食塩と食塩水が、同じ割合で減る |
どの型でも、まず「食塩の重さ」を出してから考えるのが基本です。食塩水の問題は、食塩の重さの出入りを追いかける問題だと考えると、整理しやすくなります。
2つの食塩水を混ぜる問題(混ぜたあとの濃度の公式)
例題5:4%の食塩水300gと10%の食塩水200gを混ぜると、何%の食塩水になりますか。
解き方:濃度どうしは足せないので、それぞれの食塩の重さを出して足します。
| 項目 | 4%の食塩水 | 10%の食塩水 | 混ぜたあと |
|---|---|---|---|
| 食塩水の重さ | 300g | 200g | 300+200=500g |
| 食塩の重さ | 300×4÷100=12g | 200×10÷100=20g | 12+20=32g |
| 濃度 | 4% | 10% | 32÷500×100=6.4% |
答えは6.4%です。4+10=14% としたり、(4+10)÷2=7% と平均したりするのは、よくある間違いです。混ぜたあとの濃度は「食塩の合計÷食塩水の合計×100」で求めます。
例題6:3%の食塩水と11%の食塩水を混ぜて、8%の食塩水を400g作ります。それぞれ何g混ぜればよいですか。
このように「混ぜる量」を求める問題は、このあと説明するてんびん図や面積図を使うと速く解けます。答えは3%の食塩水が150g、11%の食塩水が250gです。解き方は、このあとの「てんびん図」「面積図」「方程式」の節で、それぞれ説明します。
水を加える問題
例題7:8%の食塩水300gに水を100g加えると、何%の食塩水になりますか。
解き方:水を加えても、食塩の重さは変わりません。食塩は 300×8÷100=24g です。食塩水は 300+100=400g になるので、24÷400×100=6% です。
例題8:10%の食塩水200gに水を何g加えると、8%の食塩水になりますか。
解き方:食塩は 200×10÷100=20g で、水を加えても変わりません。8%で食塩が20gになる食塩水の重さは 20÷8×100=250g です。はじめが200gなので、加える水は 250−200=50g です。
水を蒸発させる問題
例題9:6%の食塩水400gから水を100g蒸発させると、何%の食塩水になりますか。
解き方:蒸発するのは水だけなので、食塩の重さは変わりません。食塩は 400×6÷100=24g です。食塩水は 400−100=300g になるので、24÷300×100=8% です。
例題10:5%の食塩水300gを6%にするには、水を何g蒸発させればよいですか。
解き方:食塩は 300×5÷100=15g です。6%で食塩が15gになる食塩水は 15÷6×100=250g です。蒸発させる水は 300−250=50g です。
食塩を加える問題
例題11:10%の食塩水180gに食塩を20g加えると、何%の食塩水になりますか。
解き方:食塩を加えると、食塩も食塩水も増えます。はじめの食塩は 180×10÷100=18g なので、食塩は 18+20=38g、食塩水は 180+20=200g です。38÷200×100=19% になります。食塩水の重さを180gのままにしてしまう間違いに注意しましょう。
例題12:10%の食塩水270gに食塩を何g加えると、19%の食塩水になりますか。
解き方:食塩を加えても、水の重さは変わりません。はじめの水は 270×(100−10)÷100=243g です。19%の食塩水では、水が 100−19=81% をしめるので、全体は 243÷81×100=300g です。加える食塩は 300−270=30g です。確かめると、はじめの食塩27gに30gを加えて (27+30)÷300×100=19% になります。
一部を取り出して水を加える問題
例題13:20%の食塩水200gから40gを取り出し、かわりに水を40g加えました。何%の食塩水になりますか。
解き方:取り出した40gにも食塩が溶けていることに気をつけます。取り出した直後の残りは 200−40=160g で、濃度は20%のままです。残りの食塩は 160×20÷100=32g です。水40gを加えると食塩水は 160+40=200g に戻るので、32÷200×100=16% です。
はじめの食塩 200×20÷100=40g から、取り出した40gにふくまれる 40×20÷100=8g を引いて、40−8=32g と考えても同じです。
2つの容器でやりとりする問題
例題14:容器Aに10%の食塩水が300g、容器Bに2%の食塩水が300gあります。AからBへ100gを移してよくかき混ぜ、次にBからAへ100gを戻しました。A・Bの濃度は、それぞれ何%になりますか。
解き方:やりとりの問題は、場面ごとに表に書くと混乱しません。
| 場面 | A(食塩水・食塩・濃度) | B(食塩水・食塩・濃度) |
|---|---|---|
| はじめ | 300g・30g・10% | 300g・6g・2% |
| AからBへ100g移したあと | 200g・20g・10% | 400g・16g・4% |
| BからAへ100g戻したあと | 300g・24g・8% | 300g・12g・4% |
- Aから移る100gにふくまれる食塩は 100×10÷100=10g です。Bの食塩は 6+10=16g、食塩水は 300+100=400g なので、Bの濃度は 16÷400×100=4% になります。
- Bから戻る100gにふくまれる食塩は 100×4÷100=4g です。Aの食塩は 20+4=24g、食塩水は 200+100=300g なので、Aの濃度は 24÷300×100=8% です。Bは食塩が 16−4=12g、食塩水が300gで、12÷300×100=4% のままです。
答えはA:8%、B:4%です。最後に、食塩の合計がはじめ(30+6=36g)と最後(24+12=36g)で同じになっているかを確かめると安心です。
てんびん図の使い方|混ぜる量は「逆の比」で求める
てんびん図は、2つの食塩水を混ぜる問題を、てんびんのつり合いにたとえて解く方法です。ここでは図の代わりに、言葉と表で説明します。ノートにかくときは、次の手順でかいてみてください。
- 横に1本の棒(うで)をかき、左から右へ濃度の目もりをつけます。
- 混ぜる前の2つの食塩水を、それぞれの濃度の位置に「おもり」として下げます。おもりの重さは、食塩水の重さです。
- 混ぜたあとの濃度の位置が、てんびんの支点になります。
てんびん図のきまりは1つだけです。支点までの距離の比と、おもりの重さの比は、逆になります。言いかえると、「左の距離×左の重さ=右の距離×右の重さ」です。
例題5(4%の食塩水300gと10%の食塩水200gを混ぜると6.4%)で確かめてみます。
| 項目 | 4%の食塩水 | 支点(混ぜたあと) | 10%の食塩水 |
|---|---|---|---|
| 目もりの位置(濃度) | 4% | 6.4% | 10% |
| 支点までの距離 | 6.4−4=2.4 | ― | 10−6.4=3.6 |
| おもり(食塩水の重さ) | 300g | 500g | 200g |
| 距離×重さ | 2.4×300=720 | ― | 3.6×200=720 |
距離の比は 2.4:3.6=2:3、重さの比は 300:200=3:2 で、たしかに逆になっています。
なぜ逆の比になるのかというと、左右の「距離×重さ÷100」が、混ぜたあとの濃度と比べて、うすいほうに足りない食塩の重さと、濃いほうが余分に持っている食塩の重さを表しているからです。混ぜると、濃いほうの余分がうすいほうの足りない分をちょうど埋めるので、2つは等しくなります。この例では、4%の側は 300×2.4÷100=7.2g 足りず、10%の側は 200×3.6÷100=7.2g 余分に持っています。この考え方は、次に説明する面積図と同じです。
てんびん図で例題6を解く
3%と11%の食塩水を混ぜて、8%の食塩水を400g作る問題です。
- 支点は8%です。3%からの距離は 8−3=5、11%からの距離は 11−8=3 です。
- 距離の比が 5:3 なので、重さの比は逆の 3:5(3%の食塩水:11%の食塩水)になります。
- 合計400gを 3:5 に分けます。3+5=8 なので、1にあたる重さは 400÷8=50g です。3%の食塩水は 50×3=150g、11%の食塩水は 50×5=250g です。
確かめ:食塩は 150×3÷100=4.5g と 250×11÷100=27.5g で、4.5+27.5=32g です。400gの8%も 400×8÷100=32g なので、合っています。
なお、「5%と15%の食塩水を混ぜて、10%の食塩水を400g作る」なら、距離が 5:5 なので重さの比も 1:1 となり、200gずつです。ただし、全体の重さ(ここでは400g)が分からないと、比は出せても何gかは決まりません。問題文で、全体の重さかどちらか一方の重さが与えられているかを確かめましょう。
水は0%、食塩は100%の食塩水と考える
てんびん図は、水を加える問題や食塩を加える問題にも使えます。水は「濃度0%の食塩水」、食塩は「濃度100%の食塩水」と考えます。
- 例題8(10%の食塩水200gに水を加えて8%にする):水(0%)と10%の食塩水で、支点は8%です。距離は 8:2=4:1 なので、重さの比は 水:食塩水=1:4 です。食塩水200gが4にあたるので、水は 200÷4=50g です。
- 例題12(10%の食塩水270gに食塩を加えて19%にする):10%の食塩水と食塩(100%)で、支点は19%です。距離は 9:81=1:9 なので、重さの比は 食塩水:食塩=9:1 です。食塩水270gが9にあたるので、食塩は 270÷9=30g です。
どちらも、公式で解いたときと同じ答えになります。
面積図の使い方|食塩の量を長方形の面積で見る
面積図は、食塩水を長方形で表す方法です。横の長さを食塩水の重さ、たての長さを濃度にすると、長方形の面積(重さ×濃度÷100)が食塩の重さを表します。
2つの食塩水を混ぜるのは、高さのちがう2つの長方形を並べて、同じ高さ(混ぜたあとの濃度)にならすことです。食塩の合計は変わらないので、高いほうの長方形が、混ぜたあとの高さの線からはみ出した部分と、低いほうの長方形がその線までへこんでいる部分の面積は等しくなります。
例題6(3%と11%を混ぜて8%を400g作る)を表にすると、次のようになります。
| 項目 | 3%の食塩水 | 11%の食塩水 | 混ぜたあと |
|---|---|---|---|
| 横(食塩水の重さ) | 150g | 250g | 400g |
| たて(濃度) | 3% | 11% | 8% |
| 面積(食塩の重さ) | 4.5g | 27.5g | 32g |
| 8%の線との差 | 8−3=5(へこみ) | 11−8=3(はみ出し) | ― |
へこみの面積は 150×5÷100=7.5g、はみ出しの面積は 250×3÷100=7.5g で、等しくなっています。
実際の問題では横の長さ(重さ)が分からないので、ここから逆に考えます。へこみのたては5、はみ出しのたては3です。面積が等しいので、横の長さの比は逆の 3:5 になります。合計400gを 3:5 に分けて、150gと250gが求められます。てんびん図と同じ結論です。
てんびん図と面積図は、どちらを使えばいい?
てんびん図の「支点までの距離」は面積図の「たての差」に、てんびん図の「おもり」は面積図の「横の長さ」にあたります。2つは同じことを別の形で表しているだけなので、両方を覚える必要はありません。お子さんが分かりやすいほうを1つ、使いこなせるようにすれば十分です。
面積図は、食塩の重さが面積として目に見えるので、「なぜ逆の比になるのか」を納得しやすいのが長所です。てんびん図は、かくのが手早く、水(0%)や食塩(100%)を加える問題にも使いやすいのが長所です(面積図でも、高さ0%・100%の長方形として同じように解けます)。
中学生は方程式で解く(中1:一次方程式/中2:連立方程式)
中学の数学では、1年で一元一次方程式を、2年で連立二元一次方程式を、具体的な場面で活用することを学びます(文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」)。食塩水の問題では、どちらの方程式でも「食塩の重さ」で等しくなる式を立てるのが基本です。
一次方程式で解く(中1)
例題6を一次方程式で解く:3%の食塩水を x g とすると、11%の食塩水は (400−x) g です。食塩の重さについて、次の式を立てます。
- 0.03x + 0.11(400−x) = 400×0.08
- 0.03x + 44 − 0.11x = 32
- −0.08x = −12
- x = 150
3%の食塩水は150g、11%の食塩水は 400−150=250g です。小数の計算が不安なときは、両辺を100倍して 3x + 11(400−x) = 3200 としてから解くと、計算ミスを減らせます。
水を加える問題(例題8)を一次方程式で解く:加える水を x g とします。水を加えても食塩の重さ(200×0.1=20g)は変わらず、食塩水は (200+x) g になります。食塩の重さについて、次の式を立てます。
- 200×0.1 = 0.08(200+x)
- 20 = 16 + 0.08x
- 0.08x = 4
- x = 50
加える水は50gで、例題8の答えと同じです。ほかの操作も、同じ形の式になります。
| 問題 | x とおくもの | 食塩の重さで立てる式 | 答え |
|---|---|---|---|
| 例題10(水を蒸発させる) | 蒸発させる水 x g | 300×0.05 = 0.06(300−x) | x=50 |
| 例題12(食塩を加える) | 加える食塩 x g | 270×0.1 + x = 0.19(270+x) | x=30 |
連立方程式で解く(中2)
例題6を連立方程式で解く:3%の食塩水を x g、11%の食塩水を y g とします。食塩水の重さと食塩の重さについて、2つの式を立てます。
- 食塩水の重さ:x + y = 400
- 食塩の重さ:0.03x + 0.11y = 32(400gの8%)
2つ目の式を100倍すると 3x + 11y = 3200 です。ここから、1つ目の式を3倍した 3x + 3y = 1200 を引くと 8y = 2000 なので、y=250 です。1つ目の式から x=400−250=150 となり、一次方程式で解いたときと同じく、3%の食塩水が150g、11%の食塩水が250gです。
「何を x(と y)とおくか」「食塩の重さが等しくなるのはどこか」を決めるところは、算数のてんびん図や面積図と同じ考え方です。
食塩水の問題でよくある間違い7つ
- 水の重さで割ってしまう:水100gに食塩25gを溶かすと、食塩水は 100+25=125g です。濃度は 25÷125×100=20% で、25÷100×100=25% ではありません。
- %をそのまま小数にしてしまう:6%は0.06です。0.6とすると、答えが10倍になります。12.5%は0.125、0.5%は0.005です。
- 濃度どうしを足してしまう:4%の食塩水300gと10%の食塩水200gを混ぜても、14%にはなりません。食塩の合計で計算すると6.4%です(例題5)。
- 重さがちがうのに平均してしまう:5%の食塩水100gと15%の食塩水300gを混ぜると、10%ではなく、食塩は 5+45=50g なので 50÷400×100=12.5% です。2つの濃度の平均で求められるのは、2つの食塩水の重さが同じときです。
- 問われている量を取りちがえる:「水は何g」と聞かれているのに、食塩水の重さを答えてしまうミスです(例題4では、食塩水の500gではなく、水の490gが答えです)。
- 何が変わらないかを決めずに式を立てる:水を加える・蒸発させるときは食塩が、食塩を加えるときは水が変わりません。食塩を加えたのに、食塩水の重さを元のまま計算してしまうミスもよくあります。
- てんびん図で比を逆にし忘れる:支点までの距離の比を、そのまま重さの比にしてしまうミスです。重さの比は、距離の比の逆になります。
練習問題5問(解答・解説つき)
ここまでの内容を確かめる練習問題です。まず自分で解いてから、下の解答・解説を見てください。答えが合っていても、「何が変わらないか」を自分の言葉で説明できるかも確かめてみましょう。
練習問題
問題1(基本の公式)
(1) 食塩18gを水132gに溶かすと、何%の食塩水になりますか。
(2) 7%の食塩水300gには、何gの食塩が溶けていますか。
(3) 食塩24gで15%の食塩水を作ると、食塩水は何gできますか。また、水は何g必要ですか。
問題2(水を加える・蒸発させる)
(1) 12%の食塩水250gに水を加えて、10%の食塩水にします。水を何g加えればよいですか。
(2) 4%の食塩水450gから水を蒸発させて、6%の食塩水にします。水を何g蒸発させればよいですか。
問題3(混ぜる)
6%の食塩水200gに12%の食塩水を何g混ぜると、10%の食塩水になりますか。
問題4(食塩を加える)
4%の食塩水300gに食塩を何g加えると、10%の食塩水になりますか。
問題5(取り出して水を加える)
15%の食塩水300gから60gを取り出し、かわりに水を60g入れます。この操作を合わせて2回行うと、何%の食塩水になりますか。
解答・解説
問題1の答え:(1) 12% (2) 21g (3) 食塩水160g、水136g
(1) 食塩水は 18+132=150g です。18÷150×100=12% です。
(2) 300×7÷100=21g です。
(3) 24÷15×100=160g です。水は 160−24=136g です。
問題2の答え:(1) 50g (2) 150g
(1) 水を加えても、食塩は変わりません。食塩は 250×12÷100=30g です。10%で食塩が30gになる食塩水は 30÷10×100=300g なので、加える水は 300−250=50g です。
(2) 蒸発しても、食塩は変わりません。食塩は 450×4÷100=18g です。6%で食塩が18gになる食塩水は 18÷6×100=300g なので、蒸発させる水は 450−300=150g です。
問題3の答え:400g
てんびん図で考えます。支点は10%です。6%からの距離は 10−6=4、12%からの距離は 12−10=2 で、距離の比は 4:2=2:1 です。重さの比は逆の 1:2(6%の食塩水:12%の食塩水)になります。6%の食塩水200gが1にあたるので、12%の食塩水は 200×2=400g です。
確かめ:食塩は 200×6÷100=12g と 400×12÷100=48g で、12+48=60g です。食塩水は 200+400=600g なので、60÷600×100=10% になります。
方程式なら、12%の食塩水を x g として 0.06×200 + 0.12x = 0.1(200+x) を解くと、x=400 です。
問題4の答え:20g
食塩を加えても、水は変わりません。水は 300×(100−4)÷100=288g です。10%の食塩水では水が 100−10=90% をしめるので、全体は 288÷90×100=320g です。加える食塩は 320−300=20g です。
確かめ:はじめの食塩は 300×4÷100=12g なので、12+20=32g で、32÷320×100=10% になります。
てんびん図なら、4%の食塩水と食塩(100%)で支点は10%です。距離は 6:90=1:15 なので、重さの比は 食塩水:食塩=15:1 です。300÷15=20g と求められます。
問題5の答え:9.6%
1回目:取り出したあとの 300−60=240g にふくまれる食塩は 240×15÷100=36g です。水60gを入れると300gに戻り、濃度は 36÷300×100=12% です。
2回目:取り出したあとの240gにふくまれる食塩は 240×12÷100=28.8g です。水60gを入れると300gに戻り、濃度は 28.8÷300×100=9.6% です。
1回の操作で、食塩は 240÷300=0.8 倍になります。そのため、15×0.8×0.8=9.6% と求めることもできます。
保護者の方へ|家で食塩水を教えるときのコツ
食塩水は、式そのものより「いま何が変わって、何が変わらないのか」をつかめるかどうかで差がつく単元です。ご家庭で見るときは、次の3つを意識してみてください。
- 式を書く前に「何が変わらない?」と聞く:水を加える問題なら「食塩」、食塩を加える問題なら「水」と、お子さんが自分で言えるかを確かめます。
- 表に書く習慣をつける:「食塩水の重さ・食塩の重さ・濃度」の3行の表に、分かっている数を書き込ませます。空いているマスが、次に求めるものです。
- 解き方を説明してもらう:答えが合っていても、なぜその式になるのかを説明できなければ、少し形を変えた問題で止まりがちです。説明できるかどうかで理解を確かめる考え方は、「わかったつもり」では成績は伸びない?でも紹介しています。
とはいえ、保護者の方が毎回「教える役」になると、親子でぶつかってしまうこともあります。中学受験の算数で、お母さまが教える役からサポート役に回ったご家庭の体験談(中学受験の算数、親が教える役からサポート役へ)も参考にしてみてください。
間違えた1問だけを、動画で見直す
宿題やテストで食塩水の問題を間違えたときは、TeachAI(β版)も使えます。間違えた問題の写真を撮ると、10〜20秒でその1問だけの解説動画ができるサービスです。家庭学習での使い方はTeachAIの使い方・活用法で、サービスの概要はTeachAIのページで紹介しています。
1対1で教わりたいときは
「てんびん図の考え方だけ、先生に教わりたい」というときは、オンライン家庭教師のTeachで、食塩水の単元だけを1対1で教わることもできます。料金は先生ごとに異なり、入会金・教材費・解約金・月額固定費はかかりません。1コマ60分単位で、受けた授業の分だけの都度払いなので、「この単元だけ」「テスト前だけ」といった使い方ができます。詳しくは料金ページと、小学生・中学受験向けのページをご覧ください。
実際の授業を初回無料で受けられる無料体験もご用意しています。お申し込みは、Teachの公式LINEから受け付けています。
まとめ|食塩水は「食塩の重さ」と「変わらないもの」に注目する
- 公式は「濃度=食塩÷食塩水×100」の1本。求めるものに合わせて「食塩=食塩水×濃度÷100」「食塩水=食塩÷濃度×100」に形を変える
- %は100で割って小数にする。6%は0.06
- 食塩水の重さ=水の重さ+食塩の重さ。濃度を出すときに、水の重さで割らない
- 混ぜたあとの濃度は、食塩の合計÷食塩水の合計×100。濃度どうしは足さない
- 水を加える・蒸発させるときは食塩が、食塩を加えるときは水が変わらない
- 混ぜる量を求めるときは、てんびん図か面積図で「逆の比」を使う。中学生は、食塩の重さで等しくなる方程式(中1は一次方程式、中2は連立方程式)を立てる
この記事は、Teachのライブ配信授業「第1回 割合と比 〜食塩水〜」で扱った内容を、例題と練習問題つきの解説に書き直したものです。授業の録画はYouTube(Teachのチャンネル)で見られます。
割合と比の考え方は、ほかの単元にもつながっています。あわせて読んでみてください。
- 第2回 割合と比 〜売買損益〜(原価・定価・売価と、利益の割合)
- 第3回 割合と比 〜倍数算〜
- オンデマンド授業 #8:まとめ回(食塩水・売買損益・図形の回転)
中学受験算数のほかの単元は、こちらで解説しています。
保護者の方へ:入試の過去問に取り組む時期の目安と進め方は、中学受験の過去問はいつから?開始時期の目安と進め方にまとめています。


